門司港地ビール工房はビール本来の味わいを大切にしている為、加熱殺菌工程、ろ過工程(ビール酵母を取り除く)を行っておりません。
1回の仕込み量は700リットルと少量生産、その為ビールはいつも新鮮、活きたビールをお楽しみ頂けます。
ビールのスタイルは、ヨーロッパの伝統ある国々で親しまれている正統派のスタイル。それぞれがきちんと個性を持ちながらも主張しすぎないので、料理との相性も良いです。
原料の麦芽(モルト)はドイツのミュニック・ワイヤマン社から13種類、ホップはドイツ産、アメリカ産のものを4種類、そしてビール酵母はフレッシュな状態が保てる国内産を3種類使用しています。

 


麦芽(モルト)MALT

一般的にビールに使われる麦芽とは、大麦の麦芽のことです。
その名の通り麦を発芽させた後、その成長を止めて、根だけ取り除いたもののことです。
麦を発芽させると、麦に含まれるデンプンを糖に分解する酵素が生成されます。それを乾燥させて、成長を止めビール造りに必要なデンプンと酵素を麦の中に閉じこめてしまうのです。
そして、不要な成分を多く含む根を取り除くと、麦芽(モルト)が出来上がります。私たちが使用している13種類の麦芽には、ヴァイツェンにはかかすことのできない小麦麦芽も含まれています。これらの中から、それぞれに合った麦芽を、3~6種類選んでビールを造っています。

 


ホップ HOP

ホップのビールに対する役割は、特有の香りと苦みをつけること抗菌性を持たせて防腐効果を高めることです。
ホップの歴史は意外と浅く、ビールが紀元前3500年頃のメソポタミア文明最古のシュメール人たちから始まったのに対し、ホップの使用は11世紀のドイツから始まりました。それ以前は、ナツメグ、ローズマリー、ジンジャー、シナモンなどのハーブを使用していました。
それが、ホップに取って代わったのは、その強い防腐効果と独特の香りと味のためでした。
私たちは、そのホップをドイツ・アメリカなどの品質の高い5種類を空輸して、その中からそれぞれのビールに合った物を多いもので4種類使用して、香りと苦みにこだわりました。


酵母 YEAST

酵母は、おおまかに上面発酵(エール)酵母と、下面発酵(ラガー)酵母の2種類に大別することが出来ます。
エール酵母は、エール(ペール―エールやヴァイツェン等)タイプのビールを醸造するときに使用します。最適発酵温度は18~24℃です。高温で発酵させることにより、ビール酵母由来の華やかな香りと複雑な味わいになります。発酵は4~5日ほどで終了し、その後低温熟成に入ります、熟成期間は2週間程度です。
一方、ラガー酵母は、ラガー(門司港駅ビールやピルスナー等)を醸造するときに使用します。最適発酵温度は8~14℃です。低温で発酵させることによりビール酵母由来の香りを抑え、すっきりとした味わいになります。発酵は7~10日ほどで終了します、熟成期間は1ケ月以上です。大手ビールのほとんどがこのラガータイプビールになります。
エール酵母を使う上面発酵は、常温で発酵することから分かるように、古代からの伝統的な醸造法です。それに対し、ラガータイプ酵母を使う下面発酵は、15世紀にドイツのバイエルン地方で開発されたと言われています。低温の場所で発酵させるとビールがすっきりした味わいに仕上がったことから、この製 法が広まったのです
しかし、当時は冷却設備などがなかったので暑い季節には、造れないビールでしたが、科学技術の進歩により、季節を問わず年中飲むことが出来るビールとなりました。